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ユンブル  トピックス   File.01 BOOK  select by 朝日奈ゆか
「頭がよい」って何だろう
―名作パズル、ひらめきクイズで探る

 植島啓司著  集英社新書 ¥660

頭がよいって何だろう 植島啓司|編集プロダクション ホームページ制作│ユンブル
      ワタシって天才?! ある日突然、答えが見える
頭がよいって何だろう|編集プロダクション ホームページ制作│ユンブル

   宗教人類学者の植島啓司氏が、パズルやクイズを解きながら、人類普遍の謎?=「頭がよい」ことを探求した力作。「世界一知能の高い女性」「知能指数(IQ)」「トリックかいかさまか」「考えられないことを考える」「天才は計測できるか」「いったい誰が正しいのか?」と目次を見ただけで好奇心に火をつけられるキーワードがいっぱいだ。
 初めから終わりまで古今東西の歴史的パズルがずらり。解けても解けなくても、問題の意味すらわからなくても、なにがなんでも容赦なく、これでもか、とりゃぁっ、と難問奇問が問いかけてくる。
「は? へ? まぁまずは解答を見てから…」と第一問で思うのを見越してか、あらかじめ、著者は言う。「あなたは…(略)…すぐに解答を知りたいと思うに違いない。だがちょっと我慢して欲しい。解答は時間をかけた推理の結果として得られるのではなく、一瞬のひらめきとともにあなたのところにやってくる」。はい。
 このことばを信じて、解答ページをめくりたい手を押さえては意地になって挑戦する。紙と鉛筆に三角定規まで動員する。しかし世界最難関IQテストを研究した著者が選んだパズルにクイズはなかなかに手ごわい。
 本をさかさまにしたり透かしたりして読み進めるにつれ、世界の天才、名パズラーに自らの頭脳を照らし合わせたり、さらに「頭がよいとは…?」について思考を重ねることになる。こんがらがったり、自分の脳ミソの薄さをなげいたりしながら、ある時唐突に、ひょっとしてワタシって天才かなっ?!とはずんだりもする。存外、ああだからこうであるなどと、理屈で考えない子どもやパズル苦手派だからこそ解けたりするらしい。
 それにしてもパズルや資料の多いこと。新書にこれだけの図版を入れ込むのは大変な作業だろう。さらに、巻末に記された参考文献の質と量。おそらく、掲載できなかった資料や文献がまだ膨大にあるに違いない。絶句。
 著者の学者としての探求に裏打ちされた難問奇問の数々とその解釈、発想の提示。それだけに根気も集中力もひらめき具合も試されてめっぽう面白い。そして、ある日突然、見えることがある。「解けた!」
 ああ、幼稚園から大学までワタシは何を勉強してきたのだろう。こんなアタマを磨いてくれるのは、いつも良書だった。


頭がよいって何だろう・植島啓司| 編集プロダクション ホームページ制作 Webライティング│ユンブル著者紹介 うえしま・けいじ
宗教人類学者、作家。1947年東京生まれ。東京大学文学部卒。東京大学大学院人文科学研究科宗教学専攻博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学。M.エリアーデらのもとで研究を続ける。1980〜2002年関西大学文学部教授。’90〜’91年NYのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ(人類学)客員教授。著書に『男が女になる病気』(集英社文庫)、『快楽は悪か』(朝日新聞社)、『競馬の快楽』(講談社現代新書)、『宗教学講義』(ちくま新書)、『聖地の想像力』『偶然のチカラ』『生きるチカラ』(以上集英社新書)、『心コレクション』(文藝春秋)など多数。




     東京芸術大学美術学部先端芸術表現科教授 伊藤俊治氏書評  (読売新聞 2003年9月28日掲載)

     新しい知性のありよう


頭がよいって何だろう 4|編集プロダクション ホームページ制作 Webライティング│ユンブル  「頭がいい」とはどういうことなのか。これまで「頭がいい」と思われてきたことが「頭が悪い」に逆転されつつあるのではないか。そんな予感を秘めながら著者は古今東西のパズルやクイズを渉猟し、判断基準を少し変えただけで常識がひっくりかえる可能性をさまざまに示してゆく。
  かつて一世を風靡(ふうび)した『頭の体操』を思わせるが、本書では知能指数を高めるのが目的ではなく、「頭がいい」の別の基準である「可能指数」をつくりあげることがめざされる。それは例えば地と図を反転させる思考だったり、複数のものの見方だったり、偶然性を呼びこむ方法だったり、常識はずれの論理の飛躍力だったりする。
  それは推論の手順を学んだり、方程式を覚えたりすることからはかけ離れ、直感を信じ、連想を愛し、まちがいを発見のプロセスと考えてゆく新しい知性のありようなのだ。

  しかし考えてみればこれらの手法はみな天才と呼ばれる人々がおこなってきたことだ。我々はある観念にとらわれると、そこから自由になることは困難だ。かつて理論物理学者ボーアは信念のシステムが創造力をブロックしてしまうと言った。コミュニケーションが不可能なのは人々が何かにブロックされているからだというのだ。何かとは人の思考のプロセスである。ものごとを区別したり階級づけたりするより、異なるジャンルの事柄を自由に結びつける思考の動きのほうが、人間には本質的なのだ。

  そうした新しい知への重要な鍵がここにはちりばめられている。自分の枠組みではとらえきれないものを内部に抱えこもうとすると謎が生まれる。けれども問題になるのは謎そのものではなく、それを受け入れる枠組みのほうなのだ。謎は与えられた。しかしわからないからとすぐ解答を見てはいけない。自己の思考のプロセスを見きわめながら、その謎に孕(はら)まれた偶然の幸運にゆっくりと身を委ねてみよう。
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