宗教人類学者の植島啓司氏が、パズルやクイズを解きながら、人類普遍の謎?=「頭がよい」ことを探求した力作。「世界一知能の高い女性」「知能指数(IQ)」「トリックかいかさまか」「考えられないことを考える」「天才は計測できるか」「いったい誰が正しいのか?」と目次を見ただけで好奇心に火をつけられるキーワードがいっぱいだ。
初めから終わりまで古今東西の歴史的パズルがずらり。解けても解けなくても、問題の意味すらわからなくても、なにがなんでも容赦なく、これでもか、とりゃぁっ、と難問奇問が問いかけてくる。
「は? へ? まぁまずは解答を見てから…」と第一問で思うのを見越してか、あらかじめ、著者は言う。「あなたは…(略)…すぐに解答を知りたいと思うに違いない。だがちょっと我慢して欲しい。解答は時間をかけた推理の結果として得られるのではなく、一瞬のひらめきとともにあなたのところにやってくる」。はい。
このことばを信じて、解答ページをめくりたい手を押さえては意地になって挑戦する。紙と鉛筆に三角定規まで動員する。しかし世界最難関IQテストを研究した著者が選んだパズルにクイズはなかなかに手ごわい。
本をさかさまにしたり透かしたりして読み進めるにつれ、世界の天才、名パズラーに自らの頭脳を照らし合わせたり、さらに「頭がよいとは…?」について思考を重ねることになる。こんがらがったり、自分の脳ミソの薄さをなげいたりしながら、ある時唐突に、ひょっとしてワタシって天才かなっ?!とはずんだりもする。存外、ああだからこうであるなどと、理屈で考えない子どもやパズル苦手派だからこそ解けたりするらしい。
それにしてもパズルや資料の多いこと。新書にこれだけの図版を入れ込むのは大変な作業だろう。さらに、巻末に記された参考文献の質と量。おそらく、掲載できなかった資料や文献がまだ膨大にあるに違いない。絶句。
著者の学者としての探求に裏打ちされた難問奇問の数々とその解釈、発想の提示。それだけに根気も集中力もひらめき具合も試されてめっぽう面白い。そして、ある日突然、見えることがある。「解けた!」
ああ、幼稚園から大学までワタシは何を勉強してきたのだろう。こんなアタマを磨いてくれるのは、いつも良書だった。
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